《MUMEI》
哀れな男達
「リレーには戻って来るのよ〜」

「は、はい…必ず!」


(マジで戻ってきそう…)


守と真司に支えられぐったりとしていたはずの拓磨は、志貴に今日初めてまともに話しかけられただけで


少し、復活していた。


「…愛の力ってすごいな」

「何言ってるの? 本当の愛の力ってのは、あれの事を言うのよ」

「…へ?」


(どれだ?)


俺が探すまでもなく


黄色い声援と、どよめきがその存在を教えてくれた。


「…頼」


そこにいたのは、頼と頼に抱きつくエイミーだった。


「エイミーにいいところ見せたいって理由だけで出る種目全部一位なのよ。

あの位じゃないとね」


(いや、拓磨にそれは無理だろ、それに…)


「キャー、頼!?」

「だ、…大丈夫、すぐ復活するから…」


結局頼も拓磨に続くようにその後エイミーの付き添いで救護班があるテントに運ばれた。


そして、最終種目のリレー


拓磨は何とか走ったが、明らかに格下の相手に抜かれ、俺達のクラスは去年より順位を落とした。


「ドンマイタクマ!」


…志貴以外の同級生は、俺も含め、心からそう言って励ました。


ちなみに、頼のクラスは優勝した。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫