《MUMEI》

『なんで、ありがと
うなんだい?』


『…雪、お母しゃん
の…雪なの…』

そう言って嬉しそう
に天を見上げ雪を掴
もうとする。


娘の話では…昨夜夢
の中でお母さんが僕
と娘の為に雪を降ら
せるからと約束した
そうだ…


僕は再び〜天を見上
げた。


…ああ、そうだ…
確かに、この温もり
は君の物だ…


…遥か上空から舞い
降りる君からのメッ
セージ…


《泣かないで…》

…ああ、もう泣かな
いよ…

《娘をお願い…》

うん、分かったよ…


確かに聞こえて来た
君の声…

余りに不甲斐ない僕
の為に降りて来たの
だろう?

もう大丈夫だよ…
君の居ないこの世界
で、君に良く似た娘
と二人で逞しく生き
ていくから…

…安心してお休み…
そして…ありがとう

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