《MUMEI》 . 「おまえにピッタリじゃん!!」 稟子に向かって言い放ち、ゲラゲラ笑うと彼女は気を悪くしたようで、俺の顔を見上げ、睨みつけた。 「その台詞、そのまま返すわ!」 稟子の皮肉に、俺はバカにするように肩をすくめた。 「おまえほどじゃない」 「なんだって〜!?」 いきり立ち、稟子は立ち上がると、俺に食ってかかる。 そのままギャアギャア言い争う俺たちを、おばあちゃんはニコニコとほほ笑みながら、のんびり呟いた。 「仲が良いわね〜」 その台詞に、俺たちはピタリと静まり、同時におばあちゃんを振り返った。 「「だれが、コイツなんかと!!」」 俺たちの声がハモり、それを聞いたおばあちゃんはまた、のんびりとした抑揚で、息もピッタリね〜と場違いなコメントをした。 …………違うのに。 俺と稟子は顔を見合わせ、深い深いため息をついた。 俺たちはおばあちゃんと別れたあと、それぞれトイレへ行く前に、用が済んだらトラックのまえで落ち合ちあう約束をした。 別れ際、稟子は俺をジロリと睨みながら言う。 「寄り道しないで、ちゃんと帰って来なさいよ」 相変わらずの稟子に対して俺は、ハイハイ、と適当に流してさっさとトイレに入った。 用を足してトイレから出たとき、売店が目に入った。そこはコンビニ型の売店になっていて、弁当や飲み物だけでなく、雑誌や土産物など様々なモノが置いてあった。 そろそろ昼になる。 メシを買っておいた方がいいかもしれない。 ………稟子には寄り道すんなって言われたけど。 これは、不可抗力っつーか、当然っつーか、 まあ、寄り道しても、仕方ないよな!? そうやって、自分の中で言い訳をした。 俺はまっすぐトラックへは戻らずに、コンビニへ向かった。 コンビニで適当に弁当や飲み物をあさり、いくつかカゴにほうり込むと、そのままレジへは行かずに、雑誌コーナーへ向かった。 もちろん、今朝のリベンジのためだ。 そう…………。 エロ本だ!! . 前へ |次へ |
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