《MUMEI》 . ………しかし。 ザッと本を見回したが、残念なことに、俺が望んでいるようなアダルト系の雑誌は置いていなかった。 俺は人知れず、がっかりした。 そのまま身を翻して、レジへ向かおうとした、 そのとき、一冊の週刊誌が目に入った。 その表紙には大小様々の見出しがプリントされている。 芸能ネタが多い中、俺の興味をひいたのは……………。 《過激!!秘密の花園☆禁断の袋とじ》 その意味不明な見出しの横に、人気AV女優のヤらしい顔写真が載っていた。 …………これだッ!! 目にも留まらぬスピードで、その雑誌をカゴに放り込み、上機嫌でレジへ向かった。 俺がトラックに戻ったときには、すでに稟子が車のまえで仁王立ちして、俺の帰りを待っていた。 俺の姿を見つけるなり、稟子は生意気そうな目つきで睨みつけてきた。 「遅いッ!!」 なにしてたのよ!!と怒鳴ってから、俺の手に握られているビニール袋を見つけて、呆れたようにため息をついた。 「寄り道すんなって言ったじゃん!!」 俺は袋を掲げて見せて、昼メシだよ!と答えた。 稟子は袋をジロジロ見つめ、ふーん?と感じ悪く唸った。 「……そのエロ雑誌は、オカズにするってワケね」 ………袋とじ、バレたッ!? 慌てて袋を見た。 半透明のビニール袋から、弁当や飲み物の他に、週刊誌の表紙がぼんやりと透けて見えていたが、それがなんの雑誌であるかはわからないはずだ。 おそらく、稟子は俺がエロ本を買ってきたのだとおもい込んだのだろう。 …………まぁ、前科があるしね。 未遂だったけど。 つーか、事実、買っちゃったけどね。 エロい袋とじ……。 俺は稟子を睨み、ちげーよ!と言った。 「これは週刊誌です!!ヒマつぶしに読むんですッ!!」 必死になって言い返すと、稟子は、へぇ〜、と納得したような声をあげながらも、どうも腑に落ちないという顔をしていた。 焦った俺は稟子にまくし立てる。 「さっさと出発するぞ!はやく車乗っとけ!!」 俺の掛け声に、稟子は、はぁ〜い…と気のない返事をした。 . 前へ |次へ |
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