《MUMEI》 義仲は、ずっと笑顔だった。口調も抑揚も、いつもとなんら変わらない。 だけど。 違和感が、あった。 ………うまく言えないけど、 なんつーか、義仲の表情、ぎこちない。 緊張………するわけないか。あのアホが。 …………でも。 なんだろ、このふたりの間に流れる空気は…。 どこか、堅苦しいような……。 そのとき、義仲がわたしの方を振り向いた。 「璃子ちゃん、紹介するよ。これ、ルカさん。この街でホステスやってんの」 彼はルカさんを指さしながら、そう続けた。紹介されてしまったので、わたしはとりあえず、ルカさんに向かってペコッと頭を下げる。 「どーも、片倉 璃子です」 ルカさんはニコッと口元に笑みをこぼしながら、はじめまして、と言った。 . 前へ |次へ |
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