《MUMEI》 アゲハ君は、ツバキの話を聞いてから暫く黙っていた。 「雪野は──どう思うんだ‥?」 「‥‥‥私は‥」 口ごもるツバキ。 「‥分からないの」 「──そうか」 「ずっと貴方の事を想ってた。貴方の事だけ。‥なのに‥」 あの人の事が気になる‥たぶんツバキはそう言おうとしたんだ。 でも‥俯いてしまった。 「おかしいでしょ、私‥‥‥これじゃまるで‥」 「いや」 はっきりと、アゲハ君が言った。 「僕はそうは思わない。彼を好きになったからといって僕は‥君が僕を嫌いになったとは絶対に思わない」 前へ |次へ |
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