《MUMEI》

 アゲハ君は、ツバキの話を聞いてから暫く黙っていた。




「雪野は──どう思うんだ‥?」

「‥‥‥私は‥」




 口ごもるツバキ。




「‥分からないの」

「──そうか」

「ずっと貴方の事を想ってた。貴方の事だけ。‥なのに‥」




 あの人の事が気になる‥たぶんツバキはそう言おうとしたんだ。




 でも‥俯いてしまった。




「おかしいでしょ、私‥‥‥これじゃまるで‥」

「いや」




 はっきりと、アゲハ君が言った。




「僕はそうは思わない。彼を好きになったからといって僕は‥君が僕を嫌いになったとは絶対に思わない」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫