《MUMEI》

「──篠河君」

「はい‥?」




 フィナンシェのお代わりを取りにキッチンに入ったら、森下さんが話し掛けてきた。




「篠河君ってもしかして──」

「?」

「お嬢様の事好き?」

「‥!?」





ぇ‥なッ‥。





「ななな何言ってるんですか森下さんっ‥!?」

「ふふっ──だって篠河君、お嬢様が神山先生といると何だかそわそわして落ち着かないみたいだし──」

「そッ‥そんな事ないですっ‥」





誤解です森下さんっ‥。





僕はただ‥花禀様が心配で‥。

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