《MUMEI》

 あれから一週間。




 放課後、委員会でいつもより遅くなった私は生徒玄関に急いでいた。




「‥?」




 音。




 笛の音。




「───────」




 その音を聴く内に、私の足は無意識に屋上に向かっていた。




「‥綺麗‥」




 少しだけ、扉を開ける。




「‥ぁ」




 加藤先輩──。




 隣りに立っているのは、ツバキ。




 夕陽が照らす中に、二人がいる。




 いいなぁ、って思った。




 恋人同士、って感じで──。

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