《MUMEI》

 でも、教科書がないまま授業を受ける訳にもいかない訳で。




「‥‥‥‥‥‥‥」




 ミドリは、碧山君に教科書を見せてもらっている。




「ちょっ‥もうちょっと離れてよ」

「そうすると見にくいから」

「わざとやってるでしょ‥」

「まさか」




 小声で、そんなやり取りをずっと続けている二人。




 アゲハ君は、呆れ顔。




 ツバキは──気付いていない振りをして板書を写している。




 私は、時々笑いそうになりながら先生の話を聞いていた。

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