《MUMEI》
久しぶりの柊
俺は今回一、二年の時程目立った活躍はしなかった。


二年連続でやったアンカーも、今年は拓磨が志願した


が、皆に止められ


結局、真司が頑張って走ってくれた。


『これで瑠美の件はチャラだからな』


意外と律儀な真司は、長谷川との仲を修復した時の事をまだ気にしていたようだ。


とにかく


俺は、それほど目立たなかった。


(はず、なのに…)


先程の鏡月やサントスのように、違うクラスや学年の生徒から、やたらと声をかけられた。


「やぁ、祐也! お疲れさま」

「わざわざ来たのか? 文化祭近いのに」


柊が通う明皇の文化祭は、俺達、吾妻高校の文化祭より一週間早く、一ヶ月きっていた。


「もちろん! 最近祐也が元気無いからって志貴から会員に連絡あったし」


(だからか)


柊の言葉で、謎は解けた。


その後、柊は俺の同級生達、…主に女子から打ち上げのカラオケに来ないか誘われたが


『ごめんね。俺には希がいるし、今日は祐也の顔を見に来ただけだから』


柊はサラリとかわして明皇に帰っていった。


(こういうの、慣れてるな)


久しぶりに、珍しくキングな柊を見たような気がした。

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