《MUMEI》 (やるなあいつ…。) いとも簡単にディフェンスを掻い潜った桜井を、 泉は見ていた。 「ボール!!」 秀皇のポストが中央のラインを踏んで待っていた。 「…はいはい。」 泉はボールを投げる。 ポストがそれを受け取り、 「ピッ!!」 審判の笛が鳴る。 「ホラッ!!」 ボールは麻倉へ。 「…」 ボールは麻倉から川上へ。 (…パスに力がない。 何の掛け声もなしに始めやがって…。 ったく…。 調子狂うぜ…。) 左サイドからのパスを受け取り、 川上がロングシュートを打つ。 (その身長じゃキツいだろ?) 川上に付いていたのは、 聖龍高校右45鈴木健也。 彼の身長は165センチと、 かなり小柄だ。 180センチを越える長身の川上はブロックなどないかのようにシュートを打った。 「バシッ!!」 「なっ…」 「でかした望夢!! よこせ!!」 桜井にパスを出すキーパー奥本。 桜井に続き、 ポスト阿久津、 左サイド井川、 右サイド広瀬が走りだす。 「カバーだ!!」 ランパスの展開。 だがスピードに定評のある聖龍高校の4人に追い付いていたのは、 (4人は無理だよ…) 秀皇大学右サイド。 三島だけだった。 (さて… せめて誘導だけでもして後は泉さんに任せるか。) カットに走る三島。 それに気付いた桜井は、 阿久津に回そうとしていたボールを逆の位置にいた広瀬に回す。 (三島… でかした!!) シュートを打つ広瀬。 が、 「バシッ!!」 これを泉に止められる。 前へ |次へ |
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