《MUMEI》
打ち上げ
(皆カラオケ好きだなぁ…)


一応今回の打ち上げの名目は


『ドンマイタクマを励ます』のが一番で、ついでに俺を励ますというものも含まれていた。


しかし、実際は主役そっちのけで、マイク争奪戦が繰り広げられていた。


(まぁ、俺も拓磨も気にしてないからいいけど)


俺はカラオケにそれほど情熱は燃やしていないし


拓磨は志貴が隣にいるだけで、満足していた。


…正確には、志貴は俺と拓磨の間に座っていたが


(そんな事はどうでもいいんだろうな)


拓磨は本当に幸せそうだった。


ついでに、俺の左隣は志貴だが、右隣は緑川だった。


緑川は鏡月に自慢するからと、俺とツーショットの写メを撮った。


「何で今年はそんなに積極的なんだ?」


一年の時も、二年の時も緑川が俺にこんなに絡んでくる事は無かったのに。


「だって私と部長は、田中君の『二人静』を見てファンクラブに入ったから」


(そうだったのか)


笑顔の緑川を見て俺は納得した。


(それにしても、今日はあまり守と喋ってないな)


後日守にその事を言うと、守は『割り込む隙が無かった』と苦笑していた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫