《MUMEI》

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くるみちゃんが赤ちゃん帰りしてしまった責任は僕にあるワケで…。

それで幼稚園の仲間にイジメられて居ても立っても居られなくなって…もう連れて帰ってしまおうとしたら幼稚園の先生に止められて『こっちに任せて下さい、お母さん』と言われてしまった…多分。

ドイツ語はちょっとだけしか分からないけど、なんとなくニュアンスで。

でも『お母さん』…”ムッタァ”って”お母さん”って意味だよね…。

気をつかってくれているのか…本気で間違えてるのか…。

克哉さんと一緒に幼稚園に来た時、克哉さんは僕を先生に紹介してくれたけどその時は全くドイツ語が分からなくて何を言っているんだかさっぱり分からなかった。

あの時『妻です』…とか言ったのかな。

さっきのでちょっと半ベソをかいてしまって、鼻をすすりながらスーパーで食材の買い出しをしていた。

重い水とかは克哉さんがいつも帰りに買ってきてくれるのでその辺をスルーして、くるみちゃんの好きな牛乳やチーズをカゴに入れていると、またくるみちゃんの事を思い出して涙が出てきた。

僕もあんな風にイジメられていた事があったから、くるみちゃんがイジメられていたのを見てその時の事を思い出してしまって胸が締め付けられるようだった。


(…あれ…ココってドコだっけ?)

ずっと考え事をしながら歩いていて曲がる道を間違えたのか、よく知らない場所に出てしまった。

(それにしても似てるんだよね…)

ドイツの街並みは中心部こそヨーロッパな雰囲気だったけど、ちょっと歩くと団地が何棟も建っていて、そこはまるで日本のような風景だった。

(日本に居るみたい…戻ろ…)

今来た道を引き返そうと後ろを振り返ると、知らない男の人が話しかけてきた。

その人は英語とドイツ語が混ざったような言葉で『アーユーゲットロスト?フロイライン(迷ったのかい、お嬢さん?)』と言ってきた。

変な人…それに…フロイライン(お嬢さん)って…。

幼稚園の先生と言い…そんなに僕って女性に見えるのかな…。

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