《MUMEI》
弘也視点
京都であの


義理の父親が飼っていたペットを見た時は、かなり驚いた。


(いい感じに育ったじゃないか)


変態親父と違い


俺は、今の成長した姿や声の方が好みだった。


その場は、やけに目立つ外国人集団がいて近付けなかったが、京都に住んでいるならすぐに見つかると思った。


何故なら、集団は観光駐車場ではなく、明らかに地元の人間が利用するような細道を歩いていったから。


(だから、京都にいると思っていたのに…)


誤算だった。


(でも、手がかりは…掴んだ)


京都の店の連中は、口が固いから、何度も通い、俺をいい人間だとアピールしなければ、本当の事を話さないかもしれない。


そう、疑って、同じ店や工房を何度も訪れた甲斐があった。


ある工房の親方に、『坊』と呼ばれていた、高校生位の少年


彼は、一瞬ではあるが、『祐也』という単語に反応した。


そんな彼は標準語を話し


後を尾ければ、駅から高速バスでどこかに


おそらく、住んでいる街に帰って行った。


残念ながら、少年についてはそれ以上はわからなかったが、そのバスの停留所を一つ一つ辿れば…


祐也に、きっと、たどり着くはずだ

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