貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》「酒」-2
男はランプに火を灯した。
ぼう…っと辺りが明るくなる、同時に人ならざる俺の姿が現れた。
「驚かないのか」
男は黙って笑みを浮かべると、台所に入っていった。
俺は古びた木の椅子に腰かけ、家の中を見渡す。
年季の入った柱に、あちこちに蜘蛛の巣が張り、家具は必要最低限のものだけを揃えたといった感じだ。
外では風が強くなり、雨がガラスを叩き、時折部屋が揺れる。
「待たせたの」
皿の上に塩漬けの肉が数枚、パンを一切れとテーブルの上に置いた。
「遠慮せず喰うがよい」
人間以外の肉を初めて口に運ぶ。
上手い
「牛の肉は初めてじゃろう」
「…!」
男はスッと立ち上がる。
「食事を続けなさい」
そう言って家を出た。
この老人は、俺の正体を知っている…?
しばらくして男が帰ってきた、手には液体の入った瓶を持っている。
男も椅子に腰掛け、グラスを2つ出した。
「酒も初めてだろう」
まるで仲間と酒を酌み交わす様に笑いながら、グラスに注ぐ。
「さあ、飲もう」
ぐっと口に運ぶ。
かーっと喉が熱くなり、思わず噎せた。
「ははは、どうだ旨いか」
「人間は…こんなものを飲むんだな」
「そうだ、酒は人類の宝じゃよ」
男は高らかに笑う。
それでも飲み続けていくうちに、俺も気分が高揚してきた
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