《MUMEI》
一括訂正
携帯が手に当たる感触を覚えた。
肩が切れてない方の手だ。

背中に這う手は安西じゃないもののように冷徹だ。
所々にカッターの切っ先を当ててくる。
腰に重圧が掛かる。



「呼ばないんですか?
ウチ先輩の名前……最中でないと気分が出ない?
四つん這いになればいいんですか、ほら……先輩、忘れないで?」

膝を折られて、首を下げられ調度、馬のような……
四つん這いにされた。


「夏の合宿の時、妖艶に喘いでたでしょう。
怖かった……先輩ときっと、こうなるって気づいていたから。
今は不思議と穏やかなんですけどね?先輩の怯える顔を見たら安心した。」

下の、チャックが解けてゆく。
指が中に侵入してきた。
カッターの冷たさが腰骨当たり、強張る。



「やっ……」

今、安西が俺を好きなようにしたら、もう戻って来れない気がする。
助けて……

背骨から尾骨へと移動する彼の指の感触が俺を蝕む。
風通しの良くなった体から俺は服を着ていないことを覚る。

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