《MUMEI》

(か…可愛い///)

緩いパーマのかかった濃いめの栗毛色の髪にブラウンの瞳、ピンクのほっぺが可愛らしい子だった。

(男の子かな、それとも女の子か分からないなぁ…)

僕も同じようなものか…。

その可愛らしい子供の頭を撫でるとまるで子猫みたいに喉がゴロゴロと鳴るんじゃないかというくらい気持ちよさそうに目を閉じていた。

「ヴィーハーベンズィ?(名前は何て言うの?)」
「……」

この子はまだ小さくて喋れないみたいだ。

僕の顔を見つめながら、指を咬えてくるみちゃんに寄りかかってボーッとしていた。

「ミニョーちゃんだよ♪」
「ミニョー?…グーデンターク ミニョー♪」
「……///」

名前を言ってみると、ちょっと恥ずかしそうにくるみちゃんの後ろに隠れてしまった。

(可愛いなぁ///)

くるみちゃんのシャツをギュッと握って離さないミニョーちゃんを離すなんて事は僕には出来ない…このまま一緒に持って帰ってしまいたい///

「ビズ モアゲン ミニョン(バイバイまた明日ねミニョン)」
「……」

くるみちゃんがミニョーちゃんにさよならを言うと、ミニョーちゃんは素直にその手を離し、くるみちゃんにバイバイと手を振っていた。

(あれ…もっとダダこねると思ったんだけど…)

でもちょっと寂しそうな顔をしていたんで、鞄に入れていたくるみちゃんに持ってきたお菓子を取り出した。

「ねぇ、ミニョーちゃんにあげたら、くるみちゃん?」
「あっ、うんうん///」
「ちょっと待って」

アレルギーとかもあるんで一緒に居た先生に「ダァフ イッヒ ゲーベン?(あげてもいいですか?)」と言って許可を取ると、くるみちゃんに渡した。

くるみちゃんは「僕の好きなお菓子なんだよ、あげる///」と言ってミニョーちゃんにそのお菓子を渡した。

お菓子を渡されたミニョーちゃんの顔は、さっきの寂しそうな顔からパアァ♪と明るくなって、ほっぺを赤くさせながらニコニコと笑っていた。


「くるみちゃんの好きなお菓子プレゼント出来て良かったねぇ」

いつもはお菓子を独り占めしているのに、あのミニョーちゃんにはニコニコしながらプレゼントをしていた。

「らって〜お兄ちゃんらもん///」

今日だけで”赤ちゃん”から”お兄ちゃん”にランクアップしてしまっていた。

「お兄ちゃんなんだ、くるみちゃん」
「うんっ♪」

今日一日いったい何があったんだろう、子供の成長って早いんだな…。
  

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