《MUMEI》

『変わらない──そのままの君が好きだ』




 その言葉が、優しい笑顔と一緒に浮かんでくる。




「──ぉ‥‥‥おはよ、サクヤ‥」

「あっ──おはようミドリ♪」

「‥ぇ‥サクヤ‥?」

「桜終わっちゃうねー、早いなぁ」

「ちょ‥‥‥どうしちゃった訳‥?」

「そうだ──私ちょっと先行くね?」

「何でっ‥!? ちょっとサクヤぁ!」




 後ろから、ミドリの声がした。




 でも私は‥振り返る事も立ち止まる事も出来なかった。




 そうしたらきっと‥私は甘えてしまうから。 すぐにでも‥泣き出してしまうから。

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