《MUMEI》

「‥そろそろ‥時間だな‥」

「──アゲハ君っ!!」

「ん‥」

「‥ごめっ‥‥‥私‥‥‥」

「来ると思った」

「ぇ‥」

「君は必ず来てくれると──、っ?」

「───────」




 抱き付いていた。




 考えるより先に。




「──大好きだから‥」

「ぁぁ」

「待ってるからね‥」

「一つ‥頼みたい事がある」

「何‥?」

「あの桜の所で‥待っていて欲しい」

「あの‥桜‥?」




 祇園の桜の所で‥?

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