《MUMEI》

 電車が、ホームに入って来た。




「では‥」

「──待った」

「『さよなら』とかなしね」

「──では、また」




 そう言って、アゲハ君が電車に乗り込む。




 扉が閉まって、電車が‥動き出した。




「───────」




 ‥行っちゃうんだ。




 本当に‥。




「‥‥‥っ?」




 何‥?




‥紙飛行機‥?




「──!」




 ──やっぱりそうだ‥。




「サクヤ、それ何‥?」

「アゲハ君から──」




 手紙だ。

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