《MUMEI》 「一生、消えない証がいい……この刃、どうですか。 先輩の中に捩込みます、そうですね。そしたら流れた血で柔らかくして、犯してあげます。」 カッターが、最大まで伸びてゆく音がした。 「……イッ! 」 顎が上手く閉まらない、歯がカチカチ鳴る。 切っ先が尾骨から入口に向かって這ってきた。 「……震えてますね、痛いのは一瞬です。どうしても苦しくなったら、言ってください。……殺してあげます。」 耳元から聞こえる音が蔦のように骨を絡ませ動かせない。 あ……そうだ、 もっと、 やらかい囁きを知ってる。 刃物の冷たさとは別の 肌を押し返す、 もっと、 温かい人の感触も。 俺は七生の…… まっしろに、 なった……。 『 二郎は俺を愛していて。俺が二郎の分まで二郎のこと愛してるから 』 偽りの無い音色ってなんて綺麗なんだろ。 前へ |次へ |
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