《MUMEI》 「 ――――――けんなっ お前…… お前は 信頼を……裏切った! 金輪際、俺の二郎に近づくんじゃねぇ!」 「 ガッ…… ゴフ 」 塊が崩れ、踞る。人影が重なり、踏み付ける。 何度も、何度も。 踏み付けられた塊は嗚咽と呻きでぶれる。 「……じろー……。」 「ななお?」 まだ、 夢でも見てるのかな? 七生が俺の目の前に居るだなんて………… 「ごめん……、ごめん、ごめんごめんごめん!馬鹿だ俺は……」 七生の腕の中は、きついけど好きだった。 こんな風にぎゅってしてくれるとどんな辛いことも吹っ飛んだ。 「それは分かってるよ」 七生のニオイ、懐かしい。 ずっと嗅いでなかった気がする。 前へ |次へ |
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