《MUMEI》

「雪野も知ってたの?」

「ええ。貴女には言ってなかったかしら」

「聞いてないなぁ」

「──本当に──何枚も何枚も書いてたわ──‥。でも‥一枚もうづきには届かなかったのよね‥検閲に引っ掛かって。最後の一枚が残ってて本当に良かったわ──」

「ツバキ」

「?」

「先輩来てるよ?」

「ぇ‥‥‥」




 振り向いたツバキの前に、加藤先輩がいた。




「ぁ‥‥‥久し振り‥でもないわよね、昨日も学校来てたし‥」

「──行っといでよ、ほら、二人でさ?」

「ぇ‥‥‥どこによ」

「屋上とか?」

「───────」

「ほらほらっ、先輩も早く♪」

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