《MUMEI》

《パンドラの箱…》
決して触れてはいけない携帯のボタン………何だろう………


フサシは その携帯にしては 見たコトもない様な鮮やかな銀色に輝く預りモノを 恐る恐る手に取って開いてみた
電源は OFFになっていて画面は真っ暗だったが 確かに今どきの携帯電話にしては厚みも重量感もあった

《…コレが……一体なんだろう…… 鮮やかな銀メタルで見た目は確かに美しいけど……古くさい只の携帯電話じゃないか……… 》



《この携帯のどこに秘密があると言うんだろ……教授の手紙では……愛するヒトには絶対に打つな!…………
チカのメールでは日本とロシアの 政府要人までもが 探している……………
教授は一体何者なんだろう………
まさか……スパイ……
プルジンスキー教授のもうひとつの顔は……スパイなんだろうか………? 》



銀色に輝く携帯を見つめながら フサシはあれこれと推測を巡らしていたが……

眺めているうちに急に 電源を入れて みたくなってきた 。


《まさか…爆弾」?…(笑)……んなコトはないよなォ(笑)只の携帯だろ……それとも………何か…暗号でも隠されて………》

そこに秘密があるなら その秘密を暴きたい……これは人間の欲求だよな…



フサシは腹を括った……

一応 感電を避けるために 長ばしを使って 顔を背けながら PWR と書かれた文字盤を 押し続けてみた…
《……まったく 度胸のない 奴だよ 俺は(笑)…… 》



十秒近く押し続けたろうか 突然に 真っ暗だった画面に光りが よみがえった 。

七色のサイレントカラー
プルルん と軽やかな電子音、


すぐにデスクトップに英語で Hello! それからロシア語で Здравствуйте と はっきりと現れた !



《…なぁんだ ! やっぱり只の携帯じゃないか…… 》

フサシは (笑)いながらも ひとつ深く呼吸し直した ……。

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