《MUMEI》 《なんだ 普通の携帯電話だ…》 フサシは安堵したが すぐに疑問が湧いてきた 教授は何故この携帯を ボクに預けたのだろう… …元々プルジンスキー教授の携帯は見た事もないしボク自身理由はわからなかったが教授は漢字が苦手だったので携帯を持っていない…ただソレだけの理由のモノと思っていた… しかしよく考えてみればコレもおかしな理由だ… だから連絡などはすべて自宅の電話にしていた… 一度教授に『携帯を持たないと不便でしょう…』と聞いてみたときも…確かに…『日本の携帯は漢字で書かれているから……』と一蹴されてしまったはずなのに…… 《そうだ !コレにアドレスが書き込んであるのか ! 》 フサシは それでも尚 恐る恐るに ボタンに 軽く指先を付けてはすぐに 離した… 数字の 3 を 押してみる ……画面に 3 が 現れた ! 別に 指先には 感電するような痺れも痛みも感じなかった フサシはためらうのを止め思い切って携帯を右手に 取り上げて 機能ボタンあたりを押してみた…… 《なんだ 日本製じゃないか ! 》 その携帯電話は何ら変わらない漢字で書かれた日本製だった すぐに 着信や発信を見てみたが 誰からも…また誰にも発信 着信の形跡はなかった…… それどころか アドレスや プロフィールにもすべて情報は打ち込んでいない 全く 初期化のままの携帯だった 《繋がるのかな…… ? 》 フサシは試しに 自分の携帯番号を 打ちこんでみようと……… 080 ー × 途中で はっとォ 気付き ボタンから 手を 離した 《まてよ ……政府の要人が探していると言うなら…… この携帯の発信で 位置がわかるかも知れない…》 フサシは プルジンスキー教授の携帯を箱の中にしまい込むと アパートの階段を駆け下りて自転車置き場に向かった… 生暖かさがフサシの全身を叩いたが 自転車から受ける夜風は心地よかった… …酔いはもうすっかり覚めていた 。 前へ |次へ |
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