《MUMEI》

「あのっ‥花禀様‥」

「?」

「僕って──‥」

「ん‥」

「何なんですかね‥」

「何って?」

「ぁ‥いえっ、今の状況に不満があるという訳ではなくてですねっ? ──僕は‥執事として‥何も出来ていなかったんだな、って‥」

「そうね──。花瓶の水換えもロクに出来ないダメ執事だもの」

「‥なのに‥どうして追い出さないんですか?」

「神山が、あんたが辞めたらつまらない、って言ってたから」

「‥神山さんの事‥‥‥お好きなんですか‥?」

「‥ぇ」

「そうですよね‥。デートもしてらっしゃいましたし‥」

「何か問題ある訳?」

「ぃぇ‥‥‥」





問題は‥ないです‥。

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