《MUMEI》

「なにも」
言葉で突き放すと認めているような気がした。



「金谷関係だと

顔に書いてあるよ」
和成は自分の顔に何か書くように手を動かした。



「学校、疲れただけ」


「寝てばっかのくせに」


「机だと寝心地悪いの」


「さいですか」


「さいですよ」
なづきは和成との会話で動悸も収まってきた。





「あんま考えるなよ。
元から嫌いだろ頭使うの。

悩むなら勉強にしとけ」


「煩いな!勉強勉強、勉強小僧!」


「妖怪みたいに言うなよ!」和成は軽く腕を振った。
なづきは玄関へ走る。



「明日はもう少し早く帰るから!」


なづきは勢いよくドアを閉めた。
明日は和成がなづきの家に家庭教師に行く日である。

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