《MUMEI》
相田洋子視点
テスト前になると、図書室は異様に混雑する。


(いつもこの位なら嬉しいんだけどな…

でも、誰も本借りないし)


今日の図書当番も、当番の仕事をせずにカウンターでテスト勉強をしていた。


(て、いうか…)


「返却された本を元の位置に返しなさい」

「…はいはい」


(噂通り生意気!)


「はいは一回」


私が睨むと、無言で図書当番


去年何かと学校を騒がせた朝倉奈都は立ち上がり、ノロノロと仕事を始めた。


あまりにもわがままで協調性の無い彼女は、去年の新人戦でレギュラーを外され、そのままバスケ部を自主退部したらしい。


だから、部活の無い人間が入る確率の高い図書委員に


おそらく無理矢理させられたのだろうが


(ストレスたまる!)


田中君や松本さんの抜けた穴の大きさを、かなり実感するこの頃だった。


「じゃあ私はあなたと違って部活あるから、ちゃんと仕事しておくように。
それから、私が仕事指摘したからテスト勉強できなかったって言い訳しないようにね」


(これ位の嫌味は許してほしい…ていうかシカトすんな!)


そして私は、今日部活が行われる体育館に向かった。

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