《MUMEI》

大勢のメイドが見送るなか、ジャムおじさんは、真っ白なロールスロイスに乗り込んだ。



執事「社長、行ってらっしゃいませ…。」



J社長「うむ…。」



“白い幽霊”の異名を持つ真っ白な車体は、音もなく邸宅を離れた。



ドンブリ頭の運転手が垣間見るミラーの中で、執事……たこ焼きマンが頭を下げていたが、その姿は徐々に小さくなり、やがて見えなくなった。



ロールスロイスは10分以上走り続けて、邸宅の庭にあたる森林を抜け、巨大な正門をくぐり出る。



冬とはいえ東海地方の空は、小春日和の穏やかさだった。



一般道を20分ほど走り、東名高速・御殿場インターのETCゲートを通過したとき…



J社長「今日はいい天気だな…。」



ジャムおじさんは、珍しく運転手に語りかけた…。

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