《MUMEI》 . …………一方、テレビの中も、 彼女の思いがけない発言に、 一瞬、スタジオが静まり返る。 そして、瞬時にどよめいた。 《………それは、だれですか!?一般のひと??新しい恋人なんですかッ!?………》 やつぎばやに質問が飛び交う。 一気にヒートアップした番組を、俺は見つめた。 テレビには、『Lee』の笑った顔が大写しにされている。 そして、次の瞬間、 不意に、彼女がカメラの方へ目を向け、 俺と、視線が合ったような錯覚に陥った。 すると、彼女は、 ふふん!、と勝ち誇ったようなほほ笑みを浮かべて、 それは、 昔、稟子が見せた表情と なんら変わっていないことに、気がついた。 その瞬間、 俺は大声で笑い出した。 カズヨシや、店の親父さんや、他の客たちがビックリして俺を見る。 それでも、笑いはおさまらなかった。 持っていた箸を投げ出し、両手で腹を抱えて笑いつづける俺に、カズヨシは眉をひそめた。 「どうしたんだよ、急に……」 戸惑う幼なじみの声に、俺は、いつの間にか浮かんできた涙を指で拭いながら、答えた。 「最高だな、アイツ」 あとで知ったのだが、 金魚草の花言葉には、 『恋の予感』 ………という意味も、あるそうだ。 −FIN− . 前へ |次へ |
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