《MUMEI》

「はい、身だしなみオッケー」





満足げな花禀様。





「じゃ、今日はあんたにいい物あげるわ──」

「ぇ」





いい物‥ですか‥?





‥花禀様が仰るいい物、って‥僕にとっては逆だったりするんだよな‥。





「──ほらっ」

「‥?」





それは‥何ですか?





って‥‥‥。





「───────」





振り子‥?





ぃゃ‥懐中時計だ‥。





それを花禀様が‥ゆらゆらと僕の目の前で揺らしてらっしゃる。





‥目の前が霞む。





もしやこれは──‥。

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