《MUMEI》

「──ほら、起きなさい」

「‥!!」





あれ‥‥‥僕は今まで何を‥?





懐中時計が揺れていて‥‥‥瞼が重くなって‥それから‥。





‥それからどうなったんだ‥?





寝ていたのか‥?





「まさかほんとに寝ちゃうなんてね──」

「‥ぇ‥」





やはりあれは催眠術ッ‥。





でも何故‥?





何故‥花禀様は僕に催眠術を‥?





「──まだ気付かない?」

「‥『まだ』‥?」





何の事だろう‥。





特には何も変わっていないような気が‥。

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