《MUMEI》 弘也視点・2祐也を捜し、俺は少年が利用した高速バスの終点に辿りついた。 そこは、田舎と呼ばれる地域。 (ここなら、すぐに見つかる) そう思ったが、何故か祐也は見つからなかった。 そして、最後に来たのは、小さな駅。 (この先にも、高校があった、は、 … ) 駅から最初の交差点に向かう途中の小さなカメラ屋。 その店頭に飾られた、着物の美少女。 (祐也に似てる!?) そして、俺は賭けに出た。 『あれ、祐也ですよね?』 『え? えぇ、…田中君の、お知り合い、ですか?」 店番の女はそれから俺を警戒し、何も教えず しまいには、俺を追い出した。 「クソッ!」 しかし、収穫はあった。 俺は、祐也の苗字が田中だと知らなかった。 その日はそれに満足して帰った。 そして、今日。 「…クク」 京都にいた少年が、着物関係者なら、着物を着た人間が祐也と関係あるかもしれない。 その、俺の勘は正しかった。 (バーカ) 俺の容姿は平凡そのもの。 服装と髪型と車を変えれば (…ちょろい) 尾行されてても、忠告を受けた女は全く気付かなかった。 前へ |次へ |
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