《MUMEI》
会話
あの質問をした後、俺は柊と一度も話さなかった。


避けている訳ではないけど、苦手だから……。


それに、特に話題もないし。





ところが、最後に会話をしてから1ヶ月半が経ったある日、委員の仕事で柊と二人で居残りをすることになってしまった。







『――‥3時間も無言で作業って…。気まず過ぎる…』

「………」

『何か話すべきだよな?でも、こいつ苦手だし』

「………」

『何か話題〜〜!!…くそっ、何も思いつかねぇ』

「…月代君」

「!! な、何!?」

「前に高岡君と一緒に、月代君達と私が会ったことあるかって聞きに来たわよね?」

「あ、あぁ」

「あの答え…本当は"Yes"だったらどうする?」

「な、何言ってんだよ。そんなわけねぇじゃん?」






柊は、俺の返答を聞いた後、聞き取れない声で何かを呟いた。







「…覚えてないのね」







「え?ごめん。聞こえなかったんだけど」

「ううん、何でもないわ。そんなことより、もしかして月代君、私のこと避けてる?」






あ…さっきの話題、流された。



ってか、やっぱ避けてるように見えてたんだ。

でも、"苦手だから話し掛けなかった"とは言えねぇよな…。






「え?そんなことねぇけど?」





まぁ、これは嘘じゃない。避けるつもりはなかったし。






「だったら、もっと話しとかしましょうよ。月代君とは仲良くなりたいわ」

「…はい?」






柊と俺達が本当は会ったことがあるかもっていう話は完璧に流されてるし、俺と仲良くなりたいとか言い出すし…。


一体何なんだよ?
訳が分からん。



それとも、俺の聞き間違いか?

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