《MUMEI》

「他の事はまるでダメなのにお菓子作るのだけは割りとまともに出来るのよね──あんたって」

「小さい頃から──甘い物を作るのが大好きでした。仕事柄‥両親は家を開ける事が多くて‥‥‥僕はいつも‥独りで──留守番をしていたんです」

「あんた鍵っ子だったの?」

「はい‥」

「‥何でお菓子作り好きだった訳?」


「楽しかったんです」

「‥‥‥ふぅん‥?」

「材料を量ったり、生地を混ぜたり──そういう事が凄く楽しくて──いつか、『美味しい』って──そう言ってもらえるようなお菓子を作れたらな、って」

「それがあんたの夢?」

「──いえ、どちらかというと憧れです」

「‥大体同じじゃない」

「‥そう‥でしょうか?」

「‥違うの?」

「いえっ、違わない‥です‥」





というか恐いです花禀様‥。

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