《MUMEI》
バレンタインデー。つづき2
知り知り合いさんから経由してきた、その”はるちゃんの想い人”のメルアドをゲットすると、さっそく中庭に来るようにメールした。

「来るかなぁ?」
「来なければコッチから乗り込んでやるよっ」
「荒っぽい事はしたくないけど…姿だけは見てみたいな…」
「ツラ拝みたいってか♪」
「違うってι」


そう言いながら中庭でみんなでワァワァしていると、小さくて可愛らしい子がケータイを持って不安げにキョロキョロしながらこちらを伺っていた。

「あ…あの///」
「来たー梅子ちゃんだよねっ!」
「は…はい///」

”千歳梅子ちゃん”

日本の何かの行事で食べるような飴の名前に似てる。

スカートから出た足は白くてフワフワつやつやで、とっても触り心地が良さそう…まるでその飴のようだった。

それに、ほっぺがマシュマロみたいにフニフニで、髪の毛は濃いめのブラウン、肩までの短さの髪を耳の上辺りの両端でちょっとだけ結んでいた。

特徴的な瞳は黒くて丸くてパッチリしてて、まるで可愛らしい小動物のようだった。

(はぁぁ〜可愛いし〜美味しそう///)

俺でもドキドキしてしまうくらい可愛いから、はるちゃんが一目惚れしちゃうのも分かるなぁ。

はるちゃんからバレンタインの話を聞いた時は、嬉しいのと同時に…もしかしたらその女の子に嫉妬しちゃうかも…とか思ってたけど…。

こんなに可愛い子だったのか…。

コレだと俺、逆にはるちゃんに嫉妬しちゃうかもなぁ〜。

やっぱり双子、好きなタイプも似てるんだな。


手を伸ばして梅子ちゃんの手を握るとふんわり柔らかくて、その手は緊張してるのかほんの少し汗ばんでいた。

「梅子ちゃん///」
「はいっ///…あ…あの…」

俺が梅子ちゃんの手を引いて連れてこうとしたら、ちょうどはるちゃんと武が中庭に入ってきた。

「あっ、はるちゃ…あっ!」

はるちゃんの姿を見るなり、梅子ちゃんはそれまで繋いでいた手に一瞬力を込めてきたかと思うと、顔を真っ赤にさせて逃げ出してしまった。

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