《MUMEI》 「ゎ──一気に積もりましたね‥」 「──ねぇ」 「はい?」 「この雪がぜーんぶ粉砂糖だったら素敵じゃない?」 「‥こ‥粉砂糖‥ですか‥?」 「でねっ? 家はお菓子で出来てて、壁も──煙突もみんな食べられるの。昔あんたが絵本で読んでくれたでしょ? あんな風に──」 「作って差し上げます、いつか──」 「ぇ?」 「本物のお菓子の──お邸を」 「ふふっ、そんなにでっかくなくていいわ──じゃないと私お腹壊しちゃうじゃない」 「ぁ、そうですよね──」 お菓子の家──それをお作りしたら、花禀様──僕を見直して下さるだろうか。 天使のような笑顔を──見せて下さるだろうか。 前へ |次へ |
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