《MUMEI》
リハーサル後
「じゃあ、代表して津田さん感想一言」


リハーサル後、集合した俺達の前にいた洋子先生が、後ろにいた志貴を呼んだ。


「祐也可愛い。エイミー萌える。頼エロイ。全体的に面白いけど



ツッコミが足りない」

「俺は可愛くない」

「そうそれ!そのタイミング! 可愛いは訂正しないけど」


志貴が俺をビシッと指差した。


「大丈夫。それは保…二狼がやるから」


洋子先生はニヤリと笑った。


(確かに、保がいなくてもストーリーは進むけど、ちょっと物足りない感じはしたな)


平凡だ地味だと言われていても、やっぱり劇の主要キャラである以上、ちゃんと役割があるのだと


俺も、他の部員達も納得した瞬間だった。


「じゃあ、最後に貴志から一言」


(珍しいな)


いつもは洋子先生だけが喋って終わりだった。


「皆、明日のテスト頑張ってね。

終わったら、甘い物用意してるからね。

それで、申し訳ないけど、誰かに荷物持ちを頼みたいんだけど…」

「あ、じゃあ俺が」

「祐也は最近やっと食欲戻ったばかりだからダメ!」


何故か部外者の志貴の意見に皆が賛成し、結局一年生部員が手伝う事になった。

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