《MUMEI》

東名高速を東京・横浜方面へ走るロールスロイスの車窓は、箱根の山々の美しい紅葉を映し出していた。



ジャムおじさんは、ドッシリと後部座席に腰を落ち着かせ、運転手とやりとりを交わしてゆく。



J社長「ところで、キミは随分と長く私の運転手を勤めているな…。


…もう何年になる…?」



運転手「はい…。もう、かれこれ20年になります…。」



――…グスンッ…。



運転手は、また鼻をすすった。



J社長「おい…。大丈夫かね?


…随分、鼻の調子が悪いようだが…


運転には気をつけてくれたまえ…。」



そんな言葉をかけて、ルームミラー越しに運転手を見やったときだった…。

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