《MUMEI》

(紫苑の言う通りだな‥)




 そう思い、立ち上がる。




 ‥と。




「お二方──お客様がいらしております」




「ん‥客‥?」




 誰だろうか。




「──とにかく行くか」




「ぁ‥‥‥うん」




 桜に続き、紫苑も立ち上がる。




 廊下を進み、通された帳の内には‥。




「っ‥?」




 見慣れない女がいた。




 絹のような長い白髪。




 月色の眼。




(‥‥‥誰だ‥?)




 と、見つめる桜。




「──誰だ‥?」

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