《MUMEI》
弘也視点・3
尾行した日、女は自分の住むアパートに入り、出て来なかった。


本当なら、その近くにあるホテルに泊りたい所だが


(暴力執事に追求されたら面倒だしな)


結局その日も、いつものように高速を使わずに帰った。


(カーナビって便利だよな。最新だし)


俺は、京都以外の土地に行く時は


少年が使った観光バスの停留所や


祐也の写真を見かけた街の、小さな駅


そして、女のアパートがある近くのホテル


を、目的地に設定し、高速を使用せずに目的地に着いていた。


(よし、行くか)


女がアパートに帰った次の日


俺は朝からアパートの近くで張り込んだ。


(…やっとか)


女が動いたのは、夕方



学校なら放課後の時間帯だった。


(…さて、どっちだ?)


女が行った学校は二つ


一つ目は、大型スーパーの前にある高校


普通の高校生が数名迎えに来て、長めに滞在していた。


二つ目は、駅に一番近い


出てくる生徒の様子から、それなりに真面目な生徒が通う高校


ものすごい美形が迎えに来て、しばらくその場で話し、校内にいたのは数分間だけだった。

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