《MUMEI》
偶然か本人か
《…サイトウ?》

「あぁ」


弘也と関係無いとは思ったが、一応俺は愛理さんに言われた事を忍にいつも通り報告した。


《…》

「…どうした?」


少し、沈黙した後


《弘也の、実の父親の苗字は『サイトウ』、斉藤だ》

「…っ…、でも、歳や見た目が」


俺は携帯を握りしめた。


《あぁ、違う》

「じゃあ…偶然、か?」

《それはわからない》


忍はサイトウが弘也だと確信していないが


否定もしなかった。


《サイトウが来た日を聞き出せ。問い詰めてみる》

「あ、あぁ」

《嘘をつく可能性は高いがな》

「…やっぱり、弘也、なのか?」

《…とりあえず、一人になるなよ。

吾妻高校の文化祭には行ってやるから》

「あぁ」


忍は最初、文化祭に来る予定では無かった。


だから、俺の文化祭に来るまでに片付けなければならない仕事がかなりあり


文化祭一般公開の二日間しか、来られないと後日連絡が来た。


その間にあるのは


頼と厳の誕生日


そして


柊が通う明皇高校の文化祭だった。


(どっちも行かないとな)


特に柊は会いに行かないとすねると思った。

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