《MUMEI》

「まだ落ち込んでる?」

「ぁ‥‥‥済みません」

「大丈夫?」

「ハイ‥‥‥」

「お嬢様ね──」

「?」

「最近篠河君の事何気に──」

「!? ななな何言ってるんですか森下さんっ‥」

「分かるのよね──何となく」

「分かる‥?」

「ふふっ、私も女ですから」

「──森下さんは‥恋、した事って──」

「あるわ──1度だけね」

「いつ頃ですか?」

「幼稚園の頃だった。同じ組の中にね、ちょっと変わった男子がいたの。その男子の事、初めは何ともなかったんだけど──いつの間にか好きになってた」

「──それで──」

「ジャングルジムの上でね、告白したの。──でもその子──引っ越して行っちゃった」

「ぇ」

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