《MUMEI》

「どうも… どうも …よろしく……あ… どうも… 」

党の選挙公約や私政演説を簡単に終えた60才を過ぎたくらいの保守党のAは…
愛想よく前に並んだ作業員や事務員たちに握手を求めてきた……


ここで思わぬ事態に市場の関係者は皆驚いた…


「……おお…君か〜 元気にしてるの…… そうか…ここで働いてたの……今度よろしくね…… 」


なんと 梨田の甥の…あの生意気なアルバイトの予備校生と A は どういうわけか……顔見知りだった…

選挙権があるのか…ないのかもわからない… その甥は 照れくさそうな笑顔を浮かべながら 任してください……と言わんばかりに
隣の梨田を A に紹介している …

課長もそれを見ながら満面な笑顔で相鎚を繰り返す…


…梨田の甥は ここに来る前に 会員制のクラブでボーイのバイトを していた事があった……
そのクラブの常連が A だったというわけである

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