《MUMEI》

執事、なんて‥言えるような感じでもないですけど‥‥‥でも僕は、花禀様の執事なんです。





それが邪魔をして‥どうにも‥。





「──ぁ‥僕クッキー焼いて来ますねっ」

「篠河君」

「っ、はい‥」

「あの子に──伝えてあげて?」

「ぇっ、む‥無理ですっ」





出来ません‥。





とても‥僕には‥。





「──────‥」





意気地なしだよな‥。





‥恐いんだ。





花禀様に‥フラれるのが。





‥フラれるに決まっている。





花禀様のお気持ちは‥神山さんに向けられているんだから‥。

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