《MUMEI》

広間に戻って来ると、もうダンスが始まっていた。





僕は、ただ立ち尽くすしかない。





僕の隣りに立ってらした花禀様は──‥





「──神山ぁ!」





ご自分から神山さんをお呼びになった‥。





僕は‥取り残されてしまった。





「篠河君、踊る?」

「ぇ、森下さん‥」

「ごめんごめん、ちょっと気晴しになればって思ったんだけど──、?」

「花禀様‥」





神山さんと踊ってらっしゃる花禀様──本当に楽しそうにしてらっしゃる。





しかも──息がピッタリだ。





凄い──。

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