《MUMEI》

「花禀様ぁ!」





お部屋や、キッチンや、色んな場所を覗いてみたけど‥‥‥花禀様は見つからない。





『‥な‥‥‥何で‥よ‥』





あんなに真っ赤になった花禀様は‥初めてだった。





『お嬢様どうされたのかしら‥』

『キスよ、キス』





‥違う‥。





あれは‥‥‥ただの‥‥‥事故だ。





ただ‥偶然に‥。





‥って‥今はそんな事を考えている場合じゃない。





「──花禀様! どちらに──‥」





目の前に、現われた人。




「‥神山さん‥‥‥?」

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