《MUMEI》

「……そうだよ、俺。今、何処なの安西。」

安西……


「代わって。」

七生が眉をひそめ、俺を跳ね退ける。


「悪いけど二郎には代われないから。」


「ななお……!」

引ったくってやった。


「馬鹿っ、二郎!」

服を引っ張られたが構いやしない。


『せんぱい?』

なんだか、ほっとした。
安西だ……。


「安西、あの、ごめん、どうしよ、どうすればいいんだ?」


『もう、いいです。俺……疲れて。』


「今、どこにいる?」









『……さよなら……
駅前です。』

鳥肌が立つ。
こんな、説得力のあるさよならは初めて聞いた。

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