《MUMEI》 許せない企画地面に座り込み、じいちゃんの背中を呆然と見つめながら、 わたしはハッとする。 「………ってか、なんでわたしまでッ!?」 ほぼ絶叫に近い声で叫んだが、返事はなかった。 その後ろで、シホと長島君が笑っている。 「追い出されてやんの、カッコ悪ぅ!」 「家族だって思われてないんじゃない??」 わたしはギロッと二人を睨んだ。 その拍子に、視界の端っこに、オロオロと挙動不振の三田サンがうつった。 …………つか、 このひと、 じいちゃんに、一体なにしたんだろ?? わたしがジーっと三田サンを見つめていると、その視線に長島君が気づき、わたしと三田サンを見比べて首を傾げた。 「なに??秋元って、三田サンみたいな真面目系がタイプ??」 わたしはカッと目を見開き、叫んだ。 「なんの話だッ!!」 どうしてこの状況で、そんな台詞が出て来るのか。 コイツの脳みその回路を見てみたい。 長島君はわたしのツッコミを無視して、三田サンを見て尋ねる。 「つーか、三田サン。なにやらかしたのさ??秋元のじいちゃん、めっちゃカンカンだったけど」 長島君の質問に、三田サンは困り切った顔をする。 「………それが、ちょっと、ある企画が食品部門のミーティングであがりまして……」 …………『企画』?? 「なんの話ですか??」 気になったのできいてみた。 三田サンはしどろもどろに話をつづける。 「えっと、実はですね……」 …………彼の説明によれば、 長島君のお父さん−−−つまり、あのショッピングセンターの社長さんが、 営業不振に苦しむこの商店街を憐れにおもい、 ここにある、いくつかの商店を、 テナントとして、ショッピングセンターの中に迎え入れようとしている、とのことらしい。 三田サンは弱り切ったように呟いた。 「わたしも最初に聞いたときは、ちょっと……それはムリ、じゃないかとおもっていたんですけどね……そのォ、社長が、どうしても……って……おっしゃるものだから……」 彼は深いため息をついた。 「でも、お話に伺うと、ほとんどの方が喜んでお受けして下さるので……内心、ホッとしていたのですが……、その、ここの……」 そこまで言いかけて、チラッとわたしの顔を見る。わたしが眉をひそめると、三田サンは慌てて目を逸らした。 . 前へ |次へ |
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