《MUMEI》
奇行
ある深夜、ドアを閉めきり、冷房が効きすぎて寒く真っ暗な部屋で、その住人のRは携帯と向き合っていた。

ただ画面を見ている訳ではない。
エロ小説を読んでいる訳でもない。
どこかのサイトを観覧している訳でもない。

そう、ひたすらに携帯の画面を見ながらボタンをクリックしている。

Rの脳内では今、妄想世界の大航海中なのだ!

それでそれを文に変換していたという訳だ。

ここで1つの疑惑が浮かび上がる。

Rの、妄想を文に変換する能力は著しく低い。
否、皆無と言っても良いくらいだ。

それなのに、ガツガツとボタンを押している。

脳内の間違って繋がれた回線を正しく治したか、
脳内妄想システムのプログラムを修正したか、
妄想を文に変換するプログラムを読み込めたか、
何れにせよ、近々、嵐が来そうな情報である。

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